未来会計

「未来会計」とは? 私たちが大切にしている考え方についてご説明します

未来会計とは?

一言でいえば「未来の会社の羅針盤」です

未来会計とは、過去の数値をまとめるだけでなく、そのデータをもとに「会社の未来」を予測し、目標達成までの道筋を描き、サポートしていく考え方です。

従来の会計が「過去の実績を表す健康診断書」だとすれば、未来会計は「理想の姿になるための具体的なフィットネスプラン」に例えることができます。会社の目標達成というゴールに向かって、経営者が正しい意思決定を下すための羅針盤やカーナビの役割を果たします。


会計の本質と未来会計の関係

会計には本来、2つの大きな機能があります。

① 外部報告機能: 株主や銀行、税務署などの社外の利害関係者に、会社の財政状態や経営成績を報告する機能(財務会計)。
② 内部活用機能: 経営者が自社の経営判断に役立てるために、会計情報を活用する機能(管理会計)。

(出典:日本公認会計士協会)

過去会計は主に①の外部報告機能に重きを置いてきました。しかし、会計が持つもう一つの重要な機能は、②の経営判断への活用です。未来会計は、この②の機能を最大限に引き出し、未来志向で発展させたものと言えます。会計データを単なる報告書で終わらせず、経営を良くするための「生きた情報」として活用するのです。


経営計画と未来会計の強力な連携

未来会計は、経営計画を絵に描いた餅で終わらせないための強力なツールです。具体的には、経営計画のPDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)を回す上で中心的な役割を果たします。

  • Plan(計画): 経営者の夢やビジョンをヒアリングし、「いつまでに、どうなっていたいか」を明確にします。そして、それを実現可能な売上目標、利益計画、資金繰り計画といった具体的な数値計画に落とし込みます。
  • Do(実行): 策定した経営計画に基づいて、日々の経営活動を行います。
  • Check(検証): 月次決算などを通じて、計画と実績の差異(予実対比)をタイムリーに分析します。「なぜ計画を達成できたのか」「なぜ未達だったのか」の原因を、会計の専門家と共に深掘りします。
  • Action(改善): 検証結果をもとに、次の打ち手を考えます。計画の軌道修正や、新たなアクションプランの策定など、次の一手をデータに基づいて判断できるようになります。
このサイクルを継続的に回すことで、勘や経験だけに頼る経営から脱却し、データに基づいた客観的で精度の高い経営へと変革させることができます。これが、未来会計が経営者にもたらす最大の価値です。


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未来会計で経営者が目指すべき「3つの姿」

1. 「数字」で未来を語れるストーリーテラー

未来会計を実践する経営者は、もはや勘や経験、度胸(KKD)だけに頼りません。自社の未来を、具体的で説得力のある「数字」という共通言語で語れるストーリーテラーへと進化します。

具体的な行動や状態

自社のビジョンを数値化できる

「3年後に売上を2倍にする」だけでなく、「そのために、来期は〇〇の利益を出し、〇〇円を新規事業に投資する。その結果、資金繰りはこうなる」という具体的な道筋を数字で説明できます。

・金融機関や社員を惹きつける

銀行との融資交渉では、精度の高い経営計画書を基に「なぜ資金が必要で、どうやって返済していくのか」を明快にプレゼンできます。社員には、会社の目標と個人の業務がどう繋がっているかを数字で示すことで、納得感とモチベーションを高めます。

・会話の中心が「過去」から「未来」へ

「先月は売上が悪かったな…」という過去の話だけでなく、「計画との差は〇〇円。この差を埋めるために、来月は〇〇という手を打とう」という未来志向の会話が日常になります。

目指す姿を一言でいうと

バックミラー(過去の業績)を見てため息をつくのではなく、カーナビ(未来の計画)を見て次の一手にワクワクしている経営者。


2. 会社の変化をリアルタイムで捉える「プロの操縦士」

変化の激しい時代において、年に一度の決算書だけで経営の舵取りをするのは、計器のほとんどが壊れた飛行機を操縦するようなものです。未来会計を導入した経営者は、会社の健康状態や変化の兆候をリアルタイムで把握し、常に先手を打てるプロの操縦士です。

具体的な行動や状態

・月次試算表が待ち遠しくなる

毎月の試算表や資金繰り表を「面倒な報告書」ではなく、「自社の今を知るための重要なコックピット計器」と捉え、積極的にチェックします。

・「なぜ?」を5回繰り返す

計画と実績にズレが生じた際、「なぜ売上が未達だったのか?」「なぜ経費が膨らんだのか?」とその原因を深く掘り下げます。その分析を会計の専門家と共に行い、根本的な課題解決に繋げます。

・資金繰りの不安から解放される

数ヶ月先の資金状況まで予測できているため、「来月の支払いは大丈夫か?」といった日々の資金繰りの不安から解放されます。その結果、目先の現金に一喜一憂するのではなく、中長期的な視点での設備投資や人材採用といった「攻めの経営判断」に集中できます。

目指す姿を一言でいうと

嵐の予兆をいち早く察知し、安全な航路に船を進めることができる冷静沈着な船長。


3. 会計事務所を最強の「経営参謀」として活用するリーダー

未来会計が真価を発揮するのは、経営者が孤独な戦いをやめ、外部の専門家を信頼できるパートナーとして迎え入れた時です。目指すべきは、会計事務所を単なる記帳代行業者ではなく、共に未来を創る「経営参謀」としてフル活用するリーダーの姿です。

具体的な行動や状態

・定期的な「作戦会議」を主宰する

会計事務所と定期的に面談し、数字の報告を受けるだけでなく、「この数字をどう見るか?」「次の一手として何が考えられるか?」といった経営課題を積極的に相談します。

・客観的な意見に耳を傾ける

経営者は時に、思い入れが強いあまり判断が主観的になりがちです。会計のプロという第三者の客観的で冷静な意見に真摯に耳を傾け、意思決定の精度を高めます。

・専門家を「味方」にする

税務調査のためだけでなく、会社の成長のために専門家がいると考えています。自社の弱みや課題もオープンに相談し、専門知識を会社の成長のために最大限引き出します。

目指す姿を一言でいうと

自分の強みも弱みも理解した上で、最高の頭脳を持つ参謀を隣に置き、的確な意思決定を下す戦国武将。

これらの姿は、未来会計というツールを通じて、経営者自身がより強く、より賢く、そしてより未来志向になるための具体的な目標です。この変革こそが、会社を持続的な成長へと導く最大の原動力となります。